ジェロントロジー×移動の自由。超高齢化先進国としての自負を抱いて

今回は、お茶大から東大の大学院に進学した江原望さんにご寄稿頂きました。

彼女のユニークな研究内容、とても気になる所です、、、!

大学の卒業式にて♡(左側が筆者)

みなさん、こんにちは!
今回、寄稿させて頂く、江原望(えはらのぞみ)と申します。

新領域創成科学研究科の修士1年生で、研究室では福祉工学の研究をしています。今年の春にお茶の水女子大学を卒業し、大学院から東京大学に入りました。

今回は、私の研究していることについて少しだけお話したいと思います。(といっても、修士の1年目、まだまだほんの駆け出しなのですが…。)

Gerontology…とは?

「ジェロントロジー」という言葉をご存知でしょうか。

端的に言うと、「老いる」ことについて様々な角度から考察する学問のことです。
(ご興味のある方にはGerontologyの草分け的な文献として、サルトルの生涯のパートナー、ボーヴォワールの書いた「老い」という本をおすすめします。)

東京大学のInstitute of Gerontology(IOG)という機構では、心理学、社会学、倫理学、経済学、医学、工学…など、幅広い分野がコラボレーションしながら、この「老いる」事について、学際的な研究がおこなわれています。

その中で、私の研究室は、このIOGとも協同しながら生活支援工学、特に高齢者向けの支援技術の研究をしているところです。「超高齢社会」「人生111年時代」といった言葉がうんざりするほど叫ばれる中、その負のインパクトをいかに減らしていくか、むしろ、超高齢化先進国の日本が先駆けて強みにしていけないのか。そんな大きな課題意識を持ちながら、研究を進めています。

電動車いす“WHILL”

 

年を取っても、自由な移動ができる世界

もう少し具体的に、私の研究テーマについてお話しようと思います。

実は、学部の卒論では歩き方と靴についての研究をしていました。今は、シルバーカーや歩行器等の移動支援機器をテーマにしようとしています。どちらも、「自力で移動する」ことに関わるものです。

人間は、生まれたばかりのころは自分の力だけだとベッドの上から出られないですよね。1年くらいで歩けるようになって歩ける距離が長くなって、そして乗り物に乗れるようになると、行動範囲はどんどん広がっていく。移動手段と健康な体さえあれば、私たちはどこへだって行ける。

でも、年を取るにつれてそれは(変化のスピードは様々ですが、一般的には)叶えづらくなっていき、自由に移動できる範囲は狭くなる。さらに、骨折や病気をすると、移動だけでなく、日常の何気ない些細な動作すら途端に難しくなってしまうのです。

すべての高齢者を支えることが人口的に難しくなってきた今、高齢者がなるべく自立して生活できるようにするために移動支援はとても重要な要素なのです。

そこで、私の研究では、「超高齢者向け」という視点でアプローチします。

「人生111年時代」を迎えつつある日本では、実は世界に類を見ないスピードで111歳以上(百寿者)の人口が増えています。今年の統計では、なんと7万人近くもいるんです。

90代、111歳代の超高齢期というのはこれまであまり移動支援において注目されていない層でした。そして何より、ニーズが取りづらい。若年世代では実際にユーザを巻き込みつつ参加型の製品開発をすることもできますが、超高齢期では体力面や認知機能面での課題があり、そういう手法の実現は難しい。

ですから、私の研究のテーマは「いかにして超高齢期の移動支援に対する潜在的ニーズをくみ取るか、そしてどのような設計をするべきか」ということになります。超高齢の方々にお話を聞くべく老人ホームに出向いたり、福祉用具のメーカーさんにヒアリングをしたりしています。

年を取っても、自由な移動ができる世界に。

そんな世界に少しでも近づける研究になるため、日々精進しています。これからもがんばります!

 

余談 著者趣味

私の研究もそうですが、「移動」がテーマになることが多い私の研究室では、様々な乗り物に乗る機会があります。セグウェイやセニアカー、ドライビングシミュレータなど色々ありますが、研究室旅行ではレーシングカートに乗りました!笑

この数秒後にコースに激突w

また、国内外問わず旅に行くのが好きで、その土地の衣装を着るのも大好きです!先ほど移動の話をしましたが、自分が動き回れるうちに、どこにでも行っておかなければなと思ってアクティブに過ごしています!!

昨年の上海旅行。(モリモリの盛唐スタイル)

 

 

望さん、ありがとうございましたー!

つい昨日帰国した私は、数えたら1か月ちょっとで16フライト乗ってたのですね。

「移動の自由」や「移動のエンターテインメント」について、考えを巡らせる事が多かったのですが、Agingという観点でアプローチするのは面白そうですね。

もう一度卒論をやれるなら、「移動の自由」について開発学的なアプローチで、つまり、明らかに先進国と途上国で異なっている「移動の自由」が、人々の生活や経済活動にどのような影響があるのか研究したい、とか思ってしまいました。卒論中毒ですね。笑

 

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です