「それでもコンピューターサイエンスの道へ!」
今回は、文Ⅱから夢を追って工学部への理転を決意し、今や研究職も視野に入れるという浅井明里さんに御寄稿頂きました。
明らかに大変な道だと分かりつつ、自分の正直な気持ちに従って夢を追いかけ、結果を出し続ける彼女、かっこよすぎます。そんな彼女の軌跡を、ぜひごゆっくりとお読みください。
初めまして、工学部電子情報工学科3年の浅井明里です。
今回はもともと文科二類で入学した私が、シリコンバレーの名門大学での留学を経てコンピュータサイエンスに目覚め、理転しちゃった話を紹介したいと思います。
「何をしたいのか」に悩んだ前期教養時代
もともと地方の普通の公立中学に通っていた自分は、東大に将来自分が進学をするとはこれっぽっちも思っていませんでした。
当時塾の先生との三者面談で「東大いけるんじゃない?」と言われて「まだ高校にも受かっていないのに!」と母と一緒に笑ってしまったことを今でも覚えています。
高校で東大を目指す友達やOB訪問で来校された官公庁の方に刺激を受けたこと、また東日本大震災やタイ洪水等が立て続けに起こり地元産業に大きな影響を及ぼしている様になんとなく危機感を覚え、
「東大の経済学部に進んで官僚になりたい!産業界を活気づけるような政策を作りたい」と思い東大を受験し、文科2類に進学しました。
実際に東大に入学してみると地方公立出身者特有(?)の孤立感や劣等感に悩まされ、とにかく色々な活動に積極的に参加しました。
東大の卒業生と現役の学生のネットワーキングを支援する学生団体、政策立案系シンクタンク、政策立案コンテストへの参加、留学企画の責任者などなど…。
こういった活動の中で「本当に官公庁から政策的に企業活動を支援したいのか」と疑問を感じるようになり、民間についてもっと知ろうと戦略コンサルティングファームやIT企業でのインターンなどを行いました。
ここで困ったことに(笑)、自分が他の文系的な仕事よりエンジニア的な仕事をしている時の方が楽しく感じることに気づいてしまいました。
ただ当時の自分は「プログラミングできる人ってみんな中学生とかから始めているのに今から追いつけるわけない…」「エンジニアってブラックらしいし…」とエンジニアを目指すことにはかなり消極的でした。
理転を決意するまで
悩みつつ一旦経済学部に進学し、3年生の夏学期から1年間、協定校留学でアメリカのカリフォルニア大学バークレー校に一年間留学をしました。
UCバークレーはアメリカでももっとも歴史のある公立大学の一つであり、[Times Higher Education World Reputation Rankings(2017)]ではハーバード、MITなどど並び世界6位にランクインされています。
最近では特にコンピュータサイエンスの分野で広く知られています。
もともとは政治経済を中心に勉強するつもりだったのですが、IT企業でのエンジニアインターンがとても楽しかったので、バークレーの最初の学期でコンピューターサイエンスの入門の授業をとりました。
ここで大きな気づきが。
え、コンピュータサイエンスめっちゃ楽しい。
本音をいうとお世辞にも駒場教養の情報の授業は楽しいと思えず(すみません)、苦痛にしか感じていなかった自分ですが、
インタラクティブな講義やラボ(週三回、実際にプログラムを書く)やTAセッション(20~30人くらいの少人数でその週の講義の内容をTAと一緒に振り返り、ディスカッションする)を通してコンピュータサイエンスへの興味、また自分のイメージしたものを自分でどんどん作れるプログラミングに一気にハマってしまい、他のCSの授業の聴講をしたりプログラミングのイベントに参加したりしました。
またちょうどこの時期にシリコンバレーでエンジニアの方々と知り合いになり、お仕事の話を伺っていく中で、シリコンバレーでエンジニアとして働くからこそ感じられる仕事のスケール感や達成感、またエンジニアの自由なライフスタイルに憧れるようになりました。
この頃はまだ「いや周りに17歳とかですごいプログラミングできる人もいるのに今からエンジニア目指すの無理〜〜」なんて弱音を吐いていたのですが、「まだ20そこらでしょ、なんで好きなことやらないの」と色々な方に背中押され、「よしいつかシリコンバレーのエンジニアになるぞ…」と決意しました。
実はこの時期にキャリアフォーラムへの応募など就職活動をしてはいたのですが、
「自分が本当に好きとは思えないことをこれからの人生ずっとやりたいのか」、「他人から成功していると思われたいがためにいわゆる人気企業、人気業種に申し込んでいるだけではないか」と自分への疑問も強く感じるようになり、結局就職活動はさっさとやめてしまいました。
4ヶ月のインターンシップと工学部への転学
心が決まったGoogleでのエンジニアインターン
色々な幸運が重なったことやコーディング面接練習に根気よく付き合ってくれた友人のおかげで、留学から帰ってから東大の秋学期が始まるまでの4ヶ月、Googleの東京オフィスでエンジニアとしてインターンをさせていただくことになりました。
それまで一度も触ったことない技術、アメリカから転勤してきたばかりのメンターとの英語でのコミュニケーションに悩みつつも、のびのびとプロジェクトをやらせていただくことができ、改めて「エンジニア楽しい!コンピュータサイエンス最高!」と思いながら働いていました。
一方でとても優秀なエンジニアの方、インターンの同期と話すたびに自分のコンピュータサイエンスの知識のなさ、経験のなさを悔しく思っていました。
どうやったら少しでも早く彼らに追いつけるか考えた時に、「これからの自分の時間をできる限りコンピュータサイエンスを学ぶことに使いたい」、また、「もっとアカデミックの側面からCSを学びたい」と思い、経済学部に復学予定だったのを取りやめ、工学部の電子情報工学への転学部を決意しました。
経済学部のまま卒業して情報系の修士を取るという選択肢もあるのではないかとかなり悩んでいたのですが、工学部に転学し、今の専攻に変えたことでこれまで触れてこなかった分野に触れたり、自分の特に興味のある分野を見つけることができたり、とても優秀な同期たちに出会うことができたので振り返ってみると本当によかったなと思います。
苦しみぬいた最初の学期
とはいうものの、高校物理数学レベルで止まっている自分にとって、いきなり専門課程レベルの授業はかなりハードルが高く、特に物理系の授業(電磁気、電気回路、量子力学、統計力学等)では最初かなり悩まされました。
「勉強しても勉強してもわからない」という状況はこれまであまりなく、毎日必死に勉強しました。この時は勉強を教えてくれる同期やTAの方のおかげでなんとか乗り切れました。
余談ですが電子情報・電気電子工学科は文科からの進学者も受け入れ、手厚いサポートを提供してくれます。
もし文科で情報系をガッツリ勉強したいという前期教養生の方は一度検討してみてもいいのではないでしょうか。
(ただし基本的に文科から進学すると特に数学や物理で苦労するのが普通なので、文科からEEICに進学した先輩に相談に乗ってもらうことをオススメします…)
それでもハッカソン全国大会に出場、受賞
物理科目の勉強に苦しみながらも、この時期に日本最大規模の学生ハッカソンに同級生と出場し、優秀なチームメイトのおかげで全国大会に出場し、受賞することができました。
一時期は勉強への疲れや経験不足でチームメイトに迷惑をかけてしまった申し訳なさからやはりエンジニアを諦めた方がいいのではないかと思っていた時期もありましたが、このハッカソンを経て、「自分の考えたものをプログラミングで実現することが好きだ」という気持ちを思い出すことができました。
「好き」なことを追い求めること
自分でも恐れていたように、もともと文科で、かつプログラミングを始めるのがかなり遅い方だった自分にとってこの一年半は大きな困難の連続でした。
就職をした周りを見て、本当に理転することが正しかったのか、自分がエンジニアや研究職として理系キャリアを追求するべきなのか悩んだことも数多くありました。
それでも「自分の本当に好きなことは何か」「他人からの承認欲求に振り回されていないか」等に胸を張って答えることのできなかった以前と比べて、
結果的に自分が一番好きだとためらいなく言える分野に出会えたこと、毎日その分野の勉強ができる今をすごく楽しいと感じています。
これからも好きなことを諦めることなく、突き詰めていきたいと思います。
あかりちゃん、どうもありがとうございましたー!
自分の気持ちに正直に、明らかに大変だと分かっている道を選んで夢を彼女。「優秀」という言葉では片づけられないと思います。
そんな行動力溢れる努力家な彼女に、今後とも注目です!
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感動しました。
私は今大学一年で電気工学を専攻しています。浅井さんのような方になれるようもっと努力したいと思いました!
これからのご活躍、応援しております。
嬉しいお言葉、ありがとうございます!
今後とも、お互い頑張りましょう(o^^o)
こちらこそ、応援しております!